東京農工大学中国同窓会と友好を深める会

今年度の事業


会報 21号 2001年総会特集号

2001.1.28     (略称)農工大日中友好会 代表 下 田 博 之
                事務局長 野田太、連絡担当:淵野雄二郎

目 次

新世紀の新年を迎えて                  会長 下田 博之

訪中雑感                     樽見 眞治(S32農学科卒)

2000年度事業報告/2001年度事業計画

第8回中国同窓会予告


新世紀の新年を迎えて

会長 下田 博之

新年明けましておめでとうございます。
 2001年の新たな世紀の黎明に際して、農工大日中友好会の皆様に心からのお祝辞を申し上げます。
 昨年末に米中央情報局(CIA)は2015年の世界情勢の予測で、「日本は経済圏の三極に残れない。国内総生産は中国に抜かれる」との報告書を公表した。私ども日中友好会が発足した7年前から現在までの間、訪中の度に、北京、上海を代表する湾岸地域の一年毎の目覚ましい発展ぶりに、誰もが驚かされてきたことを思うと、この予測が至当であると考えざるをえない。
 農工大日中友好会の発足にあたってその名称を決める際、「中国同窓会を支える会」という案に対して、井上完二先生が中国は近い将来日本を追い越す発展を遂げるであろうから、「支える会」という名称はおこがましいと発言されて、「友好を深める会」と決まったことを思い出し、井上先生の明瞭なご見識を今に知らされた思いである。
 昨年秋、淅江大学日本文化研究所所長の王勇教授の著作「中国史の中の日本像」(農文協発行)を読む機会を得た。日中交流二千年の中国人から見た日本像を、多くの両国資料を基に考究した労作である。
 王教授によれば、古代中国では日本国(当時の倭の国)を「東海の中にある日の出ずる国」「宝物の島」「蓬莱の島」「扶桑国」、そして「東瀛」などと呼び、現在もこの呼び名の一部は健在であるという。このことは3年前、中国同窓会から東京農工大学同窓会に贈られた献額(現在大学学長室に掲げられている)詩の中の「東望瀛洲懐益友…」の「東に瀛洲を望めば」と書かれたことからも知ることが出来る。
 この虚像は唐、宋時代を経て、それぞれの時代で日本国のイメージに多少の変化があったにせよ、極めて友好的、敢えて言えば日本に対して尊敬の念すら持った関係が持続されたという。それがその後の時代の日本の中国への出兵、特に日中戦争によって引き裂かれることに到ったことは、近代の歴史を見れば明かである。
 しかし、王教授はそのような歴史があったにせよ、この著作で「ひそかに目指すのは、未来志向の日本像である」といい、その構築には「特定の利益集団に個人の意志を拘束されない、民間レベルの心の交流が不可欠な前提になる」と述べている。
 私ども農工大日中友好会は原田常任顧問が言われる「中国と日本の文化・科学技術交流をめざす草の根運動」として活動して来ており、その基底に日中両国農工大同窓生の心の交流が活動を支えていると言えよう。
 念頭にあたって事務局一同意を強くし、新たな気持ちで会の運営に努めたいと思っております。会員諸兄姉のご支援、ご協力を切にお願いいたします。


訪中雑感

樽見 眞治(S32農学科卒)

〈北京〉
 悠久の歴史と文化を持つ北京。初づ、空港に圧倒される。東洋一の規模と機能を備えていると聞いていたが成田空港がみすぼらしく感じられた。北京は、ここ20年来近代的な都市作りが進められており超高層ビルの建設ラッシュ、道路の整備などオリンピック前後の東京を想起させる。現在、1700万の人口であるが数年後には世界最大の都市となるのは間違いないと思えた。街には東京以上の車の洪水と人並みで活気にあふれているが、排気ガスと埃っぽさは大都会の宿命か。万里の長城の中で有名な北京郊外の八達嶺に足を伸ばしその雄大な眺望を満喫させてもらう。ただ、周辺は林地が少なく岩石が目立ったのが気になる。

〈古都西安〉
 長い中国の歴史の中で隆盛を極めた唐時代の古都、遣唐使が苦難の末にたどりついた都、また弘法大師(空海)の修行地、あるいはシルクロードの起点などイメージして訪れる。中国を代表する博物館である磬生章陝西省歴史博物館をかけ足で鑑賞したあと城壁に登り市内を一望する。この古都も活気に満ちていたが、西安地区の労賃が海岸地帯の50%以下の水準であるとの話に中国経済力の地域格差の大きさをうかがい知る。西安の市内と周辺は歴史的な古寺、遺跡など数多く存在し中国を代表する観光地と紹介されているが散策の時間がなく残念であった。
 圧倒されたのが兵馬俑であった。TV、写真等で承知していたが近くで兵馬俑と対面するとすごい迫力が伝わってきた。まだ、発掘の過程にあり、考古学的にどう評価されるか注目したい。始皇帝の権力の偉大さと富の力に感嘆させられる。

〈敦煌〉
 今回の訪中で一番楽しみにしていたのは敦煌であった。それは30年程前に読んだ井上靖の中国の秘史を描いた「敦煌」に影響を受けたからでしょう。「陽関」「楡林窟」「莫高窟」「鳴沙山」など中国の秘境をたずねることができ、それぞれ強烈な感銘を受け幸せな思いで帰ることができました。特に莫高窟と楡林窟の壁画のすばらしさもさることながら、どうしてこの辺境のハードな場所にどのような気持ちで制作したのかなどに思いをいたし人間の偉大さに触れさせてもらいました。

〈中国同窓会との交流〉
 旅行中にも交流のあり方について質問を受けましたが私は2回目の参加で定見を持っている訳ではありません。このことについては2000.10.14付会報第20号で下田会長が「中国同窓会の現状と課題」として5項目に分けて提言されていることにつきるのではないかと思います。各項目の議論をつめ出来ることから具体化して行くことが肝心なことではないでしょうか。出席されていた中国同窓生の皆さんは交流を大変楽しげにされており、宋顧問は毎年会いたいと強調されていた。継続するなかで新しいありようを模索していくことだと思います。
〈おわりに〉
 昆明、北京と2回参加させていただきましたが本当に楽しい旅行ができお誘いいただいた先輩と同行の会員の皆様に感謝の気持ちで一杯です。第2の職場も一昨年夏に退任しフリーとなりのんびりした生活を送っていますが旅行中の先輩の皆様からもろもろのことを学ばせていただきました。21世紀は中国の世紀といわれていますが、日中友好の輪の中に参加させていただければと念願しています。
以上
 写真集から 第7回中国同窓会 2000年9月


2000年度事業報告/2001年度事業計画へつづく


バックナンバー

2000.5.27 会報 NO17、同窓会総会号外

2000.10.25
第7回農工大中国同窓会 2000年9月北京・西安・敦煌の旅 報告号


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